磁粉探傷試験(MT)とは?|溶接部・配管の非破壊検査を依頼する前に知っておきたいこと
■磁粉探傷試験とは?
磁粉探傷試験とは、対象物を壊さずに目視では分かりにくい表面の割れや傷を確認する非破壊検査の一種です。
主に鉄鋼材料など、磁石につきやすい材料に対して行われ、MT検査とも呼ばれます。溶接部や配管、架台、金属部品などを切断せずに調べられるため、納品前の品質確認や設備の保全点検で用いられます。
■磁粉探傷試験の基本的な原理
磁粉探傷試験は、検査対象に磁力を加え、傷がある部分に磁粉が集まる性質を利用して確認する検査です。
対象物の表面に割れや線状の傷があると、その部分で磁力の流れが乱れます。そこに磁粉を付着させると、傷の部分に磁粉が集まり、模様として見えるようになります。
検査員は、その磁粉模様の形や位置を見て、表面の欠陥がないかを確認します。
■磁粉探傷試験の特徴
磁粉探傷試験の特徴は、対象物を切断せず、そのままの状態で調べられることです。製品の品質確認や設備点検など、対象物を壊さずに状態を確認したい場面で活用されています。
検査する範囲や、確認したい傷の向きに合わせて磁化方法を選ぶことで、曲面や複雑な形状の部材も調べやすくなります。
また、大型の設備や移動が難しい部材では、現地で検査を行う方法として検討されることもあります。
ただし、磁粉探傷試験で確認できる範囲や適した材質には条件があります。材質や確認したい欠陥の位置によっては、超音波探傷試験や放射線透過試験など、ほかの非破壊検査を検討した方がよい場合もあります。
■磁粉探傷試験で使用される磁化方法
磁粉探傷試験では、磁化方法によって磁場のかかり方が変わるため、部材の形状や検査範囲に応じた選定が必要です。
軸通電法
軸通電法は、検査対象に直接電流を流して磁化する方法です。棒状や円柱状の部材に使われることがあり、部材の軸方向に電流を流すことで、円周方向の磁場を発生させます。
直角通電法
直角通電法は、検査対象の軸方向に対して直角に電流を流す方法です。軸通電法とは磁場のかかり方が異なるため、確認したい傷の向きに合わせて使い分けられます。
プロッド法
プロッド法は、検査対象の表面に2つの電極を当て、その間に電流を流して局所的に磁化する方法です。大型の鉄鋼部材や、検査したい範囲が限られている場合に検討されます。
電流貫通法
電流貫通法は、穴のある部材やリング状の部材に導体を通し、その導体に電流を流して磁化する方法です。検査対象に直接電流を流さず、内側から磁場を発生させる点が特徴です。
コイル法
コイル法は、検査対象をコイルの中に入れ、コイルに電流を流して磁化する方法です。部材全体を一定方向に磁化しやすく、棒状の部材や比較的小型の鉄鋼部品などで用いられます。
極間法
極間法は、電磁石や永久磁石の磁極を検査対象に当て、磁極の間に磁場を発生させる方法です。対象物に直接電流を流さずに検査できるため、溶接部や配管まわりの確認で使われることがあります。
磁束貫通法
磁束貫通法は、検査対象の穴などに強磁性体を通し、磁束を利用して磁化する方法です。穴のある部材や中空形状の部材など、形状に特徴がある対象物で検討されます。検査対象の材質や形状、確認したい傷の方向によって適した方法は異なります。
磁粉探傷試験を依頼するメリット
目視では分かりにくい表面割れを確認しやすい
溶接部や鉄鋼部材には、目視だけでは見つけにくい細かな割れや線状の傷が発生しますが、磁粉探傷試験を行うことで肉眼では判断しにくい欠陥を確認しやすくなります。
納品前の品質確認や、設備点検で不安が残る箇所を調べたい場合に役立ちます。
溶接部や複雑な形状の部材にも対応しやすい
平らな部材だけでなく、曲面や入り組んだ形状の部材にも対応しやすい検査方法のため、溶接部、配管まわり、架台など、目視確認が難しい箇所の確認にも用いられます。
検査したい部位や対象物の形状を事前に伝えておくことで、現場に合った検査方法を検討しやすくなります。
現地検査でも比較的短時間で確認しやすい
検査範囲や対象物の状態によっては、現地で比較的短時間に確認しやすい検査です。大型の配管や架台など、持ち運びが難しい対象物でも、現場で検査できる可能性があります。
点検や補修の時間が限られている場合は、現場環境や希望納期を事前に共有しておくと、対応可否や進め方を確認しやすくなります。
■磁粉探傷試験で確認できる主な傷
溶接部に発生する表面割れ
溶接部は、熱の影響や施工時の条件によって、表面に細かな割れが発生することがあります。
磁粉探傷試験では、こうした溶接部の表面割れを確認しやすくなります。
鉄鋼部材の表面欠陥や線状傷
鉄鋼部材には、加工や使用環境の影響によって、表面欠陥や線状の傷が生じることがあります。鋼材、機械部品、鋳造品、鍛造品などでは、出荷前や使用前に表面の状態を確認しておくことが大切です。
配管・架台・金属構造物まわりの傷
配管や架台、金属構造物は、長期間の使用による荷重や振動、腐食環境などの影響を受けてしまいます。特に、溶接部や力がかかりやすい箇所では、表面割れや傷がないか確認しておくことが大切です。
磁粉探傷試験は設備の定期点検や補修前後に、配管・架台・金属構造物まわりの状態を把握したい場合に役立ちます。
■磁粉探傷試験を依頼する前に確認しておきたいこと
磁粉探傷試験を依頼する前には、材質や形状、検査場所などを整理しておくと、相談がスムーズです。図面や写真がある場合は、検査したい範囲や現場の状況も伝えやすくなります。
特に急ぎの検査や、取引先へ提出する報告書が必要な場合は、希望納期や必要書類についても最初に共有しておくことが大切です。
検査対象の材質
磁粉探傷試験は、鉄や鋼材など、磁石につきやすい材料に適した検査です。
アルミニウムや銅、樹脂などには適していないため、依頼前に材質を確認しておきましょう。
何が適しているかわからない場合は、こちらで適切な検査をご案内します。
検査したい箇所や部材の形状
検査したい箇所が、溶接部なのか、配管の周囲なのか、部材全体なのかを整理しておくことが大切です。確認したい範囲が明確になるほど、検査方法を検討しやすくなります。
写真に印を付けたり、図面上で範囲を示したりしておくと、相談時に伝わりやすくなります。
現地検査か持ち込み検査か
配管や架台など、動かせない設備は現地検査になる場合があります。
現地検査を希望する場合は、作業場所の広さ、電源の有無、足場の状況を確認しておくと安心です。
必要な報告書や希望納期
取引先への提出や社内記録が必要な場合は、報告書の有無を事前に確認しておきましょう。写真記録が必要か、判定内容をどこまで記載するかも、あわせて整理しておくと安心です。
急ぎの場合は、検査対象の情報と希望日程を早めに共有することで、対応可否を確認しやすくなります。
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